ナチュラルウーマン

2/24(sat)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開!

本年度アカデミー賞外国語映画賞受賞! 監督・脚本:セバスティアン・レリオ「グロリアの青春」「Disobedience」 出演:ダニエラ・ヴェガ、フランチェスコ・レジェス、ルイス・ニェッコ 2017年/チリ・ドイツ・スペイン・アメリカ作品/スペイン語/104分/原題:Una Mujer Fantástica/英題:A Fantastic Woman 提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム Ⓒ2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA

Introduction&Story

突然逝ってしまった最愛の人に、
                ただ、さよならを伝えたい。
逆境に負けず、自分らしく生きたいと願う
すべての人へ贈る人生賛歌!
ウェイトレスをしながらナイトクラブで歌っているマリーナは、年の離れた恋人オルランドと暮らしていた。マリーナの誕生日を祝った夜、自宅のベッドでオルランドは突然意識が薄れ亡くなってしまう。最愛の人を失った悲しみの最中に浴びせられる不躾で容赦のない差別や偏見を浴びせられる。ふたりで暮らしていた部屋から追い出され、葬儀にも参列させてもらえない。マリーナにとって、ただ愛する人に最期のお別れを告げたい、それだけが唯一の望みだった――。理不尽な現実を乗り越えて前を向いて歩き始める彼女の姿に、観る者はいつの間にか共感し、幸せを祈りながらエールを送ってしまうはずだ。
新進気鋭の監督と驚くべき“新人女優”の運命の出会い。
世界が注目するニューカマー、ダニエラ・ヴェガの熱演は
観るものの心をとらえて離さない
ヒロインを演じるのは、自身もトランスジェンダーの歌手であるダニエラ・ヴェガ。トランス女優として初のオスカーノミネートもささやかれる注目の逸材だ。監督は、パブロ・ララインを輩出するなど躍進目覚ましいチリ映画界が生んだ才能、セバスティアン・レリオ。自身の前作『グロリアの青春』(13)がジュリアン・ムーア主演でハリウッドリメイクが決定するなどさらなる注目が集まっている。プロデユーサー陣は『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ありがとう、トニ・エルドマン』などの実力派が集結。

“人生の向かい風”を象徴する嵐の中を歩いていくシーンなど、ラテンアメリカ独特のマジックリアリズム的世界観で表現される場面も忘れ難い。また、劇中の音楽もマリーナの心象を語り、ダニエラ・ヴェガ自身が歌うヘンデルのアリア「オンブラ・マイ・フ」や、アレサ・フランクリンが歌う「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」は、どんな時も当たり前に“ありのままの女”でいさせてくれる人への深い想いが胸を打つ。

Interview

Director Sebastián Lelio
セバスティアン・レリオ監督インタビュー
――『ナチュラルウーマン』であなたが映画監督として挑戦したかったことはなんでしょう?
この映画を観る人が、最終的にはマリーナと密接な絆を結んでくれればと思っています。なにを信じていようと、どんな価値観や世界観を持っていようと、マリーナをつぶさに見守ることによって、観客はマリーナと同じ目に立つようになります。彼女に感情移入することで、彼女が生き延びて勝利するところを見たいと願うようになります。映画は、他者の気持ちを追体験したり、普段とは違った感情を抱いたりする機会を与えてくれます。それは、映画を観る人自身の中で起きます。映画は人生の教訓を教えてくれ、心を柔軟にしてくれます。困難の多い旅に、両手を広げて身を委ねてくれたらいいと思います。それと、なにか美しいものに触れたと感じてくれ たら嬉しいです。
――あなたと撮影監督は、ワイドスクリーン・フォーマットで撮影し、マリーナを頻繁にフレームの中央に置きましたね。この選択の意図は、なんだったのでしょうか?
幼い頃からずっと隅に追いやられていたこの人物を、ジャンヌ・モローやブリジット・バルドーのような大女優と同じように、この映画の中心にしたかったのです。そうすることによって、この映画が、マリーナその人の視点から見たストーリーであることを明確にできました。
――マリーナのキャスティングは難航しましたか?
最初はトランスジェンダーであるダニエラに、この映画について相談していました。でも、話をするうちにダニエラの人生経験が脚本に色濃く反映されるようになったんです。そして 「目の前に女優がいるのに、どうしてわざわざほかの女優を探しに行こうとするんだ?」と思ったんですよ。マリーナはダニエラを通して立体的なキャラクターになっていきました。
――この映画はどんなジャンルの映画だと思いますか?
ひとつのジャンルに押し込めることのできない映画だと思います。これはスリラーであり、メロドラマであり、社会的階級の観察であり、 ゴースト映画ですらあります。この映画は、ヒロインであるダニエラの性質を受け継いでいると思いますね。ダニエラの捉えどころのなさと逆境に負けない強さが私を解放し、芸術的な意味で欲張りにしてくれたのです。面白いことに、ジャンルを指すスペイン語には、ジェンダーという意味もあるんです。この映画はトランス・ジャンルな映画と呼びたいですね。 『グロリアの青春』を作った時よりも、監督として自由になったと感じました。
――いっさいセリフを使わずに、象徴的なイ メージだけで雄弁に語るシーンがたくさんありました。たとえば、ダニエラが風に向かって歩くシーンや、性器に置いた鏡を見るシーンです。
自分の主張したいことを率直に表現したいと思って作りました。特に昨今では、世界が濃い霧に包まれているように見えますから。 ああいうシーンは、強烈なメタファーだと考えています。ダニエラがマイケル・ジャクソンみたいに風に向かって前傾しているシーンを撮るのは、楽しかったですよ。どうやって撮っているのかは、教えられませんね。秘密です(笑)。バスター・キートンなどのサイレン ト映画のコメディを思い浮かべながら撮りました。この映画は大昔の映画や、トリュ フォー、ヒッチコック ――様々なシーンでヒッ チコックへのオマージュがあるのですが、すぐにわかると思います――やルイ・マルなどの、往年の巨匠達から影響を受けています。
Daniela Vega
ダニエラ・ヴェガ インタビュー
――マリーナを演じることは、あなたにとってどんな意味がありましたか?
これまでの人生で経験したことの中でも、とびきりむずかしい作業でした。役に深く入り 込み始めた段階から、登場人物を生き生き と表現するためにすべての感情を変換する段階に至るまで、とても複雑なレベルの感情を経験しました。ですが、極めてやりがいの ある経験でもありました。尊敬してやまないセバスティアンに監督していただけたのは、 とてつもない栄誉です。また、製作、美術、カメラ、衣装、音響、撮影を含む、このチームの一員になれたことが誇らしいです。
――マリーナは復讐しようとはしませんでしたが、犬のディアブラだけは、なんとしても取り戻そうとします。これにはどういう意味が あったのでしょう? オルランドがいなくなった後で、彼女にとって犬はどんな意味があったのでしょう?
もはや犬だけが、彼とのつながりだったんです。それ以外のものはすべて奪われていて、犬まで連れていかれたんです。それしか残っていなかったのに。ロッカーに行ってみると、空っぽでした。それを見た時に彼女は、自分はなにも持っていないと感じました。あるのは彼の思い出だけだと。だから彼女は犬を欲しがったのです。それに、あの犬は彼女へのプレゼントでした。そもそも彼女のもの だったんです。だから、彼のものだった一番ささやかなものを、彼女は求めたんです。
――映画の最後で、歌を唄われましたね。ヘンデルの『オンブラ・マイ・フ』です。あの歌について、どんなふうに感じていますか。
あのアリアは、声についての歌で、暑い日に日陰を作ってくれる木に感謝しています。詩的に解釈すれば、何かに対して、そのサポートに――それが与えてくれる休息に感謝している歌です。もたれかかることのできるもの、一緒にいてくれるものに対する感謝です。
――この映画の公開後、業界からどんなふうにアプローチされましたか? 決まりきった役にキャスティングされる危険には、どう対 処なさいますか?
トランスジェンダーではない役を、すでに演じています。今年のはじめに撮影しました。 私はそういうバリアを、もう壊したと感じてい ますし、私の体はどんな役でも演じられます。 役を引き受けられるかどうかを決めるのは、 私の能力と演じたいという欲求だけだと 思っています

Cast&Staff

Cast

Daniela vega
ダニエラ・ヴェガ
マリーナ
1989年6月3日サンティアゴ生まれ。8歳で オペラ歌手としての才能を認められる。高校 卒業後、ヘアスタイリストとして働く傍ら、地元の劇団で演技をスタート。2014年に著名なソングライターのマヌエル・ガルシアのビデオクリップに登場するなど存在が話題に。 2017年には演劇「Migrantes」でテアトロ・ア・ミル国際演劇祭の最高賞のひとつに選ばれた。また同年本作『ナチュラルウーマン』 では驚くべき才能を開花、ベルリン国際映画祭で上映されるや絶賛を浴び、トランス女優として初のオスカーノミネートもささやかれるなど世界で脚光を浴びている。次回作ではストレートの女性の役を演じ、女優として新たな一歩を踏み出している。
Francisco Reyes
フランシスコ・レジェス
オルランド
1954年7月6日サンティアゴ生まれ。1989年にテレビシリーズ「Sor Teresa de Los Andes」でデビューするや成功を収めた。現 在もテレビ、舞台、映画で活躍するチリを代表する俳優。
Luis Gnecco
ルイス・ニェッコ
ガボ
1962年12月12日サンティアゴ生まれ。チリで最も有名なコメディ俳優のひとり。1987年にテレビシリーズ「La invitación」でデ ビュー。パブロ・ラライン監督のテレビシリーズ 「Prófugos」では初の悪役に挑戦。その後、同じくラライン監督の「NO」(12)に出演、「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」(16)では主演を務め数々の賞に輝いている。

Staff

Sebastián Lelio
セバスティアン・レリオ
監督
1974年5月8日サンティアゴ生まれ。 チリ映画学校を卒業後、初監督作品 『La Sagrada Familia(原題)』 (06)が、サン・セバスチャン国際 映画祭でプレミア上映され世界的に注目される。2009年には『Navidad (原題)』がカンヌ映画祭監督週間でプレミア上映を果たした。続く『デス トロイ8.8』を2011年ロカルノ国際映画祭に出品。4作目の『グロリアの青春』(13)はベルリン国際映画祭女優賞の銀熊賞を受賞するなど世 界が絶賛。アカデミー賞のチリ代表作品に選ばれたほか、ゴヤ賞を受賞、インディペンデント・スピリット賞の外国映画賞にノミネートされた。 5作目の本作でもベルリン国際映画祭銀熊賞(脚本賞)、エキュメニカル審査員賞、テディ―賞を受賞。トロント映画祭にも正式出品され、アカデミー賞のチリ代表に選ばれた。新作は主演にレイチェル・ワイズを迎えた初の英語作品『Disobedience(原題)』。自らの作品『グロリアの青春』 のハリウッドリメイクもジュリアン・ムーア主演で決定している。
Pablo Larraín
パブロ・ラライン
プロデューサー
1976年8月19日サンティアゴ生まれ。 セバスティアン・レリオと並びチリの才能あふれる映画監督でありプロデューサー。制作会社Fabulaの設立メンバー。セバスティアン・レリオの前作『グロリアの青春』(13)でもプロデューサーを務める。自身の監督作品には、『NO』(12)、初の英語作品 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(16)、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(16)など。
Gonalo Maza
ゴンサロ・マサ
共同脚本
1975年生まれ。チリの脚本家・監督・プロデューサー。セバスティアン・レリオとは4作品で共同脚本を手掛け、本作で2017年ベルリン国際映画祭銀熊賞(脚本賞)を受賞。現在は初監督作品を準備中。ロンドン在住。
Matthew Herbert
マシュー・ハーバート
音楽
1972年イギリス生まれ。BBCのサウン ドエンジニアを父に持つ。幼少期から ピアノとヴァイオリンを学ぶ。エセクター大学で演劇を先行したのち、様々な名義を使い分けながら、ビョーク、 REM、ヨーコ・オノなどのプロデュースやリミックスを手掛ける。映画音楽で は『カフェ・ド・フロール』(11)など。

Review

ノックアウト!
――ハリウッド・レポーター
ニューカマー、ダニエラ・ヴェガの
稲妻のようなパフォーマンス!
――ザ・プレイリスト
心揺さぶられる!
――ル・フィガロ
素晴らしい!
――パリ・マッチ
パワフルな前作「グロリアの青春」ののち、
セバスティアン・レリオは新たな1本の映画と
唯一無二の女性を腕に抱いて大舞台に飛び出した。
――シネマ・トレゾォ
マチュー・ハーバートの夢のような音楽に乗って、
物語は社会的リアリズムを軽やかに凌駕する。
マリーナはあきらめない。絶えず前進する。
――ル・フィガロ
光り輝くヒロインが、幻想的で息を飲むような美しさで
変幻自在にこの映画を照らしている。
――ジュルナル・デュ・ディマンシュ
力強く、官能的で、妥協を知らない美しい映画。
――ル・モンド
トランスジェンダー女優ダニエラ・ヴェガが
驚くべき才能で感動的なヒロインを演じきった。
新たなるアルモドバルはチリからやってきた。
――ル・パリジャン
デイヴィッド・リンチやペドロ・アルモドバルに
つながる道―― クラシック映画への愛、
メロドラマやフィルムノワールに通じるダイナミックさを
思い起こさせる。
――プレミア